最近、SNSで「F1」の名前をよく見かけるようになった。
きっかけは、日本人ドライバー・角田裕毅。
ヨーロッパでは大谷翔平や井上尚弥に並ぶくらい有名らしい──なんて話をネットで見て、「本当かよ」と思いながらインスタを開いたら、フォロワーはまさかの300万人超え。

出典: WEB CARTOP
“角田って誰だよ?”
“F1ってそんなにすごいの?”
最初はそんな感じだった。
昔モナコに旅行したとき、ガイドさんが「この国はF1のためにあるようなものです」と言っていたのを思い出したけど、当時はピンとこなかった。
あの言葉の意味が、今になって少しだけわかる気がする。
F1は、速さだけの世界じゃない。
クルマの開発で順位が変わり、マシンに乗るのは“企業の象徴”みたいな存在。
チームメイトがライバルで、1台のマシンを走らせるために数百人が関わり、数十億円が動く。
レース中、たった2秒のピットストップが命取りになることもある。
300km/hを超えるスピードで命を削り合うその舞台に、角田裕毅は立っている。
これはちょっと、放っておけない世界かもしれない──
そんな気がして、F1のことを少しずつ調べ始めた。
この記事では、最初の入り口として、「F1ってなんなの?」という疑問にできる限り答えてみたいと思う。

F1とは何か?ざっくり一言で言うなら…
F1は、世界最高峰の“レース”だ。
そう言われると、どうしても「スピード勝負なんでしょ?」と思ってしまうかもしれない。
でも実際は、単純な速さの競い合いではない。
むしろ、いくつもの構成要素が絡み合って“順位”が決まる、超複雑な競技なのだ。
たとえば──
- ドライバーのスキル(集中力、状況判断、度胸)
- マシンの技術力(空力・エンジン・タイヤなど)
- チームの戦略と運営(いつピットインするか?どのタイヤを使うか?)
これらが組み合わさって、毎レースの順位が決まっていく。
中でもF1の面白さを象徴するのが、「同じチームのドライバー同士が、最大のライバルでもある」という構造だ。
なぜなら、F1では1チームにつき2台のマシンしか出場できず、唯一まったく同じ条件で戦っているのが“チームメイト同士”だからだ。
同じマシン、同じ戦略、同じサポート体制。
言い訳ができない“完全比較”が、そこにはある。
つまり、「あいつより遅ければ、自分の価値は下」と突きつけられる環境なのだ。
しかも、F1のシートは世界で20席しかない。
その狭き門を争うライバルが、目の前にいる“チームメイト”──この状況、想像するだけでエグい。
そう考えると、「日本人・角田裕毅がその舞台で戦っている」事実にも、グッとくるものがある。

どこが面白いのか?“速さ”の向こうにあるF1の中毒性
F1の魅力は、300km/hのスピードそのものじゃない。
むしろ、そのスピードをめぐって起きる「技術と人間のせめぎ合い」にある。
技術開発で“強さ”が変わる、そのダイナミズム
F1では、毎年“ルール”が変わる。
空力・重量・パワーユニット…どこまで改良していいかを決める「レギュレーション」が、FIA(国際自動車連盟)によって管理されている。
つまり、「開発競争が行きすぎないように、技術と公平性のバランスをとる仕組み」が整っている。
それでも抜け道を探してくるチームがいて、そこに技術革新が起きる。
最近だと、数年前までは中堅チームと見られていたマクラーレンが、とある空力技術を導入して一気に上位争いに食い込んできた。
それまでは下位に沈んでいたのに、ある瞬間から「勝てるチーム」になった──この変化の振れ幅の大きさがたまらない。
F1は“年単位”どころか、“1レース単位”でも勢力図が変わる。
ピット戦略と“たった1回”の判断で勝負が決まる

レース中も、目が離せないポイントがある。
たとえば、ピットイン。タイヤ交換を何周目で行うかによって、順位が一気に上下する。
それだけじゃない。
セーフティーカーが入ると、先頭と最後尾のマシンの差が強制的にリセットされる。
せっかく築いたリードが帳消しになったり、逆に追い上げのチャンスが生まれたりする。
わずか数秒の判断ミスが、何百人の努力を無にすることもある。
逆に、それを読み切って一発逆転する──そんな“頭脳戦”としてのF1も魅力のひとつだ。
人間関係が複雑に絡み合う“エンタメドラマ”

出典:F1-Gate.com
「昨日の仲間が今日の敵」
「自分が降ろされたマシンと今レースで戦う」
そんなドラマが、リアルに起きるのがF1の世界だ。
契約や移籍も複雑で、チームと選手の関係性はシーズンごとに揺れ動く。
ある年はサポート役だったドライバーが、翌年にはエースとしてチームメイトとぶつかる──そんな構図が珍しくない。
ちなみに、角田裕毅はレース中に無線でブチギレたり、暴言を吐いたりすることでも有名。
これはまた別の記事でたっぷり紹介したいが、「キャラが立ちすぎているドライバーたち」もF1を語るうえで欠かせない要素だ。
F1の“面白さ”は、知れば知るほど複雑で、でも直感的にアツい。
そして何より、「一度理解すると、観るたびに興奮できるようになる」──
それが、F1という知的エンタメ沼の正体だ。
次回は、そんなF1の舞台で戦う日本人ドライバー・角田裕毅について、「そもそもどんな人物なのか?」をテーマに書いていく予定だ。
F1において、たった20人しかいないシートに座る男の“素顔”を、少し深掘りしてみようと思う。
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